君の全部になりたい【完】
「昔から爽くんのことが大好きで、お兄ちゃんより爽くんに懐いてたじゃない?その時から、いつか2人が寺門と深山の関係に悩むんじゃないかって。」
たしかに私はお兄ちゃんより、爽とばかりいた。
お兄ちゃんはどちらかというと大人しくて、いつも部屋で勉強してるようなタイプだったから。
一緒に庭で遊んでくれる爽が大好きだった。
「ごめんね。昔から何ひとつ自由にさせてあげれてなくて。」
寺門って荷が重いよね、って。
ママにこんなこと言わせるなんて。
「ママとパパの時みたいに簡単じゃないかもしれないけど、ママはいつでも美桜の味方だからね?」
ママだってきっと、一般家庭で育ってメイドになって寺門に嫁いで色んなことがあったんだろう。
だから、私と爽のこと否定もしないし、肯定もしない。
規定は変えられない。
でもどんな選択でも味方だよ、って微笑んでくれるママに涙が止まらなくなった。
「っ、ありがとう」
久しぶりにママの腕に包まれて、本当にパパは素敵な人と結婚したなぁって、改めて実感した。
もちろんパパも素敵な人なのは間違い無いんだけどね。