君の全部になりたい【完】
「ここで大きくなったら爽と結婚するって約束されてましたね。」
「え?」
そんな約束してたの?
「シロツメクサを輪にして、美桜様の薬指にはめてました。ふふっ、その姿が可愛くて可愛くて」
「…そんなことあったんだ。」
「そんな昔のこと覚えてらっしゃらないですよね。でもきっと、爽は覚えてると思いますよ。」
優しく微笑む真由美さんは、少し複雑そうな表情を浮かべた。
「そうなの?」
「はい。あの子は美桜様のこと誰よりも大切に思ってますので。」
その表情は全てを悟って、知ってる、ママと同じ顔をしていた。
少し申し訳なさそうで、私たちと同じくらい痛い思いをしていそうな顔。
ああ、思い出した。