君の全部になりたい【完】
夢で見てた約束って、このこと?
守れなくてごめん、って。
「あら、爽、もう帰ってきたみたいですね。」
廊下の奥から爽の帰宅を知らせる足音がする。
「…ほんとだね。」
だけど、いつもように落ち着いた音じゃなくて、すごい駆け足で迫ってきてる気がする。
「では私は洗濯物回して来ますね。」
そう言って、部屋を出た真由美さん。
だんだん近づくその足音は、私の部屋の前で止まり、ノックもなしに入って来る。
「美桜っ、」
その声と同時に、爽の姿を捉えることもできない速さで、抱きしめられた。
切迫詰まった声と、走ってきた息遣い。
抱きしめる力が強すぎるっ。
「爽!?どうし、」
「好きだ。」
私の戸惑いを他所に、ありえない言葉を口にする。