君の全部になりたい【完】
「美桜と爽くんお似合いね。執事とお嬢様じゃなくて、カップルみたい。」
嬉しそうにそういうママ。
「そうだな。」
「や、やめてよ、パパまで」
ママのいうことはすぐ肯定するんだから…
実質寺門財閥のトップはママかもしれないね。
それくらいパパはママの言う事全部肯定するんだから。
「なによ。別に禁断じゃないんだからいいでしょ。」
「そ、そうだけど」
確かに禁断じゃない。
ママだって寺門家のメイドだったんだからね。
でも日本使用人協会には規定があって、もし雇い主と使用人の家系図が繋がるようなことがあれば、2度とその家に仕えることはできなくなる。
つまり寺門家の人間と深山家の人間が結婚することがあれば、深山家は全員転職をすることになる。深山家に頼りっぱなしの寺門家だって、相当困ることになるの。
ママは寺門家に仕えていたけど、深山家の人間ではなかったから、普通に結婚できたみたいだけど。