君の全部になりたい【完】
「美桜にはまだ恋は早いってことだな。」
「そうなのかしら。」
何故か嬉しそうにいうパパに、少し不服そうなママ。
…確かに私はまだ恋なんてしたことないし。どんな感情なのかもわからない。
「美桜、お見合いしてみないか?」
「お見合い?」
「そんなに深く考えなくていい。
相手のことが気に入らなければおつき合いも結婚もしなくていいし、もちろん向こうから断られる可能性だってある。
ただ話が来てるから、恋が分からないんだったら、会ってみることで何か分かることがあるもしれないぞ?」
「…うん、そうだね。私、お見合いする!」
パパのいう通り、何か変わるかもしれない。
私だってもう高校生なんだから、恋くらいしたほうがいいよね。
「爽、美桜の新しい振袖を見立ててやってくれ。」
「かしこまりました。」
隣で大人しく聞いていた爽が深々とお辞儀をする。