君の全部になりたい【完】




それからパパとママは話して、また2人で会合へ出て行ってしまった。


本当に時間がないなか、爽に久々に会いにきただけなんだね。



夜ご飯までの時間、日課である庭の散歩してるんだけど、



隣にいる爽がなんだかいつもより静か。



パパとママに会ってから様子がおかしい気がする。



いつもはイギリスでの話とか、学校での話とか色々話すのに。



「爽?なんか怒ってる?」




歩きながら爽を見上げる。



「いいえ、」





何かいいたげに、伏し目がちに黙り込む爽。




「どうしたの?」





「……焦ってます」



突然歩みを止める爽。



また瞳が切なくひどく揺れている。



悲しそうな声色は、風の音でかき消されそうだった。



…どうして?



「焦る?」

< 28 / 135 >

この作品をシェア

pagetop