君の全部になりたい【完】
それからパパとママは話して、また2人で会合へ出て行ってしまった。
本当に時間がないなか、爽に久々に会いにきただけなんだね。
夜ご飯までの時間、日課である庭の散歩してるんだけど、
隣にいる爽がなんだかいつもより静か。
パパとママに会ってから様子がおかしい気がする。
いつもはイギリスでの話とか、学校での話とか色々話すのに。
「爽?なんか怒ってる?」
歩きながら爽を見上げる。
「いいえ、」
何かいいたげに、伏し目がちに黙り込む爽。
「どうしたの?」
「……焦ってます」
突然歩みを止める爽。
また瞳が切なくひどく揺れている。
悲しそうな声色は、風の音でかき消されそうだった。
…どうして?
「焦る?」