君の全部になりたい【完】
さっそく次の日、行きつけの着物屋に来た。
振袖を買うのは久しぶりで、最近はドレスが多かったから、たまには和風でいいよね。
衣桁(いこう)にかけられている振袖たちに目を通していく。
「さっそく気になったものを、ご試着下さい。」
いくつか気になるものをピックアップしていく。
緑、ピンク、赤、黄色、とりあえず四着を選んだ。
「寺門様よくお似合いです。」
「ありがとうございます。」
「これとかどうかな?」
試着室の外で待つ、爽に見せて意見を求める。
新緑の季節だし、緑もいいよね。
「……いいと思います。」
一瞬、目を見開いたかと思えば、すごい速度で私から視線を外してそう言った爽。
え、今の絶対ちゃんと見てないよね?