君の全部になりたい【完】
「おかしい?」
「いや、…男性として好きになったりしないの?」
そのストレートな質問に、少し心がバランスを崩すのが分かった。
ゆらゆらと頑張って平行を保っている感覚。
この質問に揺れる理由は何?
「恵は、大関のこと好きなの、?」
我ながらうまい切り返しだと思う。
「なっ、…わ、私の、話はいいでしょっ!」
分かりやすく耳まで真っ赤に染める恵に目を見張る。
「え、図星なの?」
「もう…勘弁してよ」
ビー玉みたいな瞳をキラキラと輝かせて、恥ずかしそうに俯く恵は恋する乙女そのものだった。
…恵のこんな表情初めて見た。
恋ってこんなにすごいんだ。