君の全部になりたい【完】
「…爽は、私の男友達なの?」
さらに近づいてくる顔が、触れるか触れないか限界のところで止まって、
「俺はできることなら美桜の全部になりたい。」
見つめ合ってるのに、見つめ合えてないような不思議な感覚に陥る。
心が騒いで大人しくしてくれない。
私の頬を掠める爽の髪が擽ったい。
全部ってなに。
「全部…?」
「そう全部。」
欲張りな言葉と共に、妖艶に微笑む爽に釘付けになる。
脳内で踏切の警告音のような音が鳴り響く。
「意味わかんないっ。」
「美桜は一生理解出来なくていいよ。…その方がきっといい。」
なんで?分からないよ。
そうやって翻弄するくせに、何も教えてくれないの?
爽の考えてること全部教えて欲しいのに。
全て知りたくなる。
無意識に爽のことばかり考えてる。