君の全部になりたい【完】


学校が終われば、習い事、四六時中使用人がそばにいる日々。



自由に遊べたことなんて今まで一度もない。




恵と遊ぶのだって、大体どっちかの家に行くことがほとんど。



一緒に出かけたことなんてない。



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そういうわけで、恵は大関を、私は爽を説得しようってことになって、



恵からはさっそく『許可もらったよ!』って連絡が来てた。



「大関は許可出したんだよ!恵の執事は頭が柔らかくていいな〜」




「…じゃあ大関を執事にしたら?」



ぐん、と下がった目の温度。



本気で怒ってるってわかる。



「なっ、」




「何を喧嘩されてるんですか?」



後ろから聞こえたこの渋い声は、




「秀夫さん!!」



私の元執事。私服姿の秀夫さん。



秀夫さんが燕尾服じゃない姿ってすごく新鮮。



まあ最近毎日、私服で母屋を歩いてるところを目撃するけど。
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