君の全部になりたい【完】
すると、カラオケから出てきたお酒臭い大学生集団。
だいぶ酔っ払ってる。
まだ9時なのに。
「あれ?聖英美学園の制服じゃね?」
「うっわ、まじじゃん!可愛い〜!」
アルコールで顔が真っ赤になっている、大学生5人グループに絡まれる。
怖くて、声が出ない。
足がすくんで動けない。
「ねえ、俺らと遊ばない?」
足元のおぼつかない、最もお酒が回っているんであろう人が、私の肩に触れる。
恐怖で震えるどころか、石みたいになって動けない。
爽っ、助けて。
ぎゅっと目を瞑って、そう祈ると、
夜風に乗って漂うアールグレイの香り。
「うちのお嬢様に何か用ですか?」
あまりのタイミングの良さに、幻覚かと疑ってしまう。
私の前に立って、大学生たちとの間に割はいる爽。
「うわ、まじ執事じゃん。やべえ!」
冷やかして、バカにしたように笑う大学生たち。