君の全部になりたい【完】
確かに、爽が帰ったって、別の使用人はいるし、見張りだって24時間家にいる。
でも、頼りたいのも、守ってほしいのも、こういう時一緒にいて欲しいのも爽だけなの。
「私は爽がいい…」
「、え?」
「爽と、一緒に寝たい…」
「っ、」
そういうと、私を見て固まってしまった爽。
注いでいた紅茶が、ティーカップから溢れてこぼれていく。
私はただ眠れないから、ずっと隣にいてほしいだけなの。
「ダメ?」
執事は、主人の家には泊まれない?
…小さな頃秀夫さんに、何度か泊まってもらったことあるけど。
「ダメ…ではありませんが…」
難しい顔をする爽に、だんだん不安になる。
いくら執事だからって、頼りすぎて嫌になっちゃった…?
「……どういうことかお分かりですか?」
しばらく考えた後、爽の質問。
「うん、分かってるよ。」
どういうことって、寝るだけだよ?
「…分かりました。泊まります。」
「やった!ありがとう爽!」
嬉しい。今日は爽と離れず、ずっと一緒にいれるんだね。