君の全部になりたい【完】
「え、一緒に寝るんじゃないの?」
私がお願いしたのは一緒に、ベットで寝るってことだよ?
ベットはキングサイズだし、余裕でしょ?
「…同じ部屋にいますよ。」
「そんなんじゃ寝れないよっ、」
駄々をこねる私に黙り込んでしまう爽。
昔はよく同じベットで寝てたんだから、いいじゃん。
拗ねた顔で見つめると、はぁ、と大きなため息をついて、私の方へ向かってくる。
「もう、知らないからね。」
困ったように、でも嬉しそうに眉を下げる爽は、私のいる布団に入ってきた。
いつもの大好きな香り。
その瞬間、どっと緊張が押し寄せてくる。
自分で言ったくせに、爽がこんなに近くで一緒に寝るなんて心が暴れてうるさい。
…別の意味で眠れないかもしれない。
近づきたいのに、近づいたらおかしくなりそう。
これがきっと恋なんだ。