君の全部になりたい【完】



「…美桜様は、永和様とお付き合いされるんですか?」



単調なリズムで紡ぐ言葉。真っ黒で冷たい視線。



その言葉に、黒くて醜い感情は増していく。



…この間、男友達だって言ったのに、どうしてそんなこと聞いてくるの。



「…爽に、関係ある?」



挑発したような、試すような言葉に、自分でもびっくりする。



爽は一瞬目を見開いて、すぐに緩み、力無く笑って、




「…ない、ですね。」




と、悲しい言葉を投げかけた。



その言葉に予想以上のダメージを受けるのは私のほう。



…私はきっと、関係あるって言って欲しかったんだ。



どうしても、仲睦まじい2人の姿が脳裏に焼き付いて消えない。



目を閉じても、爽が隣にいても、ずっともやもやするの。



それは晩御飯を食べても、お風呂に入っても、寝る前の読書をしても、ずっとだった。

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