君の全部になりたい【完】
「美桜、上手くできてよかったね。」
家庭科の授業が終わり、満足げにコースターを眺める私に恵みが声をかけてくれた。
「うん!爽喜んでくれるかな。」
恵と話しながら家庭科室を出て、廊下を歩く。
生地を選んで、サイズを測って、端を少し手縫いしただけのコースターだけど、
爽のイメージにぴったりの爽やかな水色の生地にした。
「爽さんに渡すの楽しみだね!」
「うん!」
そんな話をしていたら、廊下の向こうから爽が歩いてくるのが見える。
いつも友達と一緒なのに、1人で歩いてるなんて珍しいなぁ、
そう思って声をかけようとした時だった。
「爽くん!」
「おう、小夜どうした?」
今日も綺麗に整っているボブの髪を揺らして、爽にかけ寄り、見上げる小川さん。
「これね、家庭科で作ったんだ。今日出来上がって。良かったら使って!」