君の全部になりたい【完】
「うん、そうなの。」
すると新堂くんはチラッと、私の半歩後ろにいる爽を見て、
「……この間はどーも。」
睨んで、そう言った。
「…美桜様、あちらへ行きましょう」
爽だって、にこりともせず私の腕を掴んで、新堂くんから離そうとする。
…2人ともどうしてそんなに仲悪いのっ?
「何、俺からそんなに遠ざけたいんだ?独占欲の塊だね。」
煽るような視線に、
「何を仰ってるんですか。」
煽るような余裕の微笑みでかえす爽。
…なんかすごい火花が見える。
「違うんだ?じゃ俺がこーしても問題ないよね?」
その瞬間、爽に握られていた腕は新堂くんに寄って突き放されて、視界が大きく揺れて、強い力に引き寄せられる。
「ちょ、新堂くんっ!?」
気がつけば新堂くんの腕の中。
ど、どういうこと?!
目の前には新堂くんの真っ黒なタキシードがあって、爽には背を向けているから表情がわからない。