君の全部になりたい【完】
そんなことを考えていると、
「美桜、いいところにいた。ご挨拶するからこっちに来なさい。」
正装をしているパパに声をかけられる。
「うん。」
「爽は今のうちに自分の食事でも取っておきなさい。」
「かしこまりました。ありがとうございます。」
そう言って深く礼をする爽。
執事はお嬢様の前で食事を取ることはあまり良しとされていないからね。
私と離れているうちに1人で食事を取ったほうがいい。
私と爽は離れて、私はパパの後をついていく。
さらに私の後ろを歩くのは、パパの専属執事で爽のお父さんである勝己(かつみ)さん。専属執事だから、いつもパパについて世界中を飛び回っている。
「娘の美桜です。」
「わぁ、可愛いお嬢様ね。」
「本当、妻に似て美人でっははっ、」
「ちょっと、恥ずかしいよ…」