君の全部になりたい【完】
今日もパパのママラブは健在で、やっと解放されたと項垂れながら爽と別れた場所に戻ると爽がいなかった。
…会場が広すぎて、人も多いし、どこいったんだろう。
慣れないヒールで探し回るのもめんどくさいし、電話をかけよう。
スマホを出して、爽に発信をする。
prrrrrーーー
「もしもし。」
出たのは女性で聞いたことがある声。
「え、」
その声に思わずスマホの画面を確認するけど、かける相手は間違えてない。
どういうこと?
「小川です。爽くん、スマホ置いていってしまって。今寺門様のデザートを取りに行ってます。」
やけに冷静なその声に、さらにパニックになる私。
爽と小川さん一緒にいるの…?
黒い感情が渦を巻く。
「…なんでっ、小川さんが、」
「私の主人も参加しておりますので。」
そっか、小川さんが仕える吾妻家も来てるんだね。