人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
この案件はイレーナが担当することになった。
今後、帝国側との話し合いがおこなわれる際、イレーナが責任者として双方の意見を汲み取りながら進めていく。
自分が皇帝との橋渡し役になると言った手前、断ることなどできない。
「お前ならできると思っている。だから俺は全面的にお前にまかせる」
村から帰る道中、夕日に照らされたヴァルクの表情は黄金に輝いていた。
そのようにイレーナには見えた。
(いやだわ。やけにかっこよく見えてしまう)
褒め言葉と彼の笑顔と夕暮れ効果はイレーナの胸を簡単に熱く焦がした。
それでも、少しばかり疑問を抱く。
「あの、ヴァルさまはどうして私のことをそれほど信用されているのですか?」
「お前のことをよく知っているからだ」
その返答にイレーナは眉をひそめた。
「え? あのう、つかぬことをお聞きしますが、私たち以前にお会いしたことがありましたか?」
単純な疑問だった。
しかし、ヴァルクは急に驚いた表情でイレーナを凝視した。
「お前は! あれほどヒントを与えてやったのに気づいていないのか?」