人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
薬草師で錬金術師の男は衛兵に連れられて地下牢へ連れていかれた。
その場に残ったヴァルクは騎士団長に話しかける。
「見事な演技だったな。スベイリー侯爵はすっかりお前に騙されたようだ」
「お褒めいただき光栄に存じます」
騎士団長は深々と頭を下げるも、ちらりとヴァルクに目線をやる。
「ですが、私が本当に陛下を裏切るとはお思いにならなかったのですか?」
それに対し、ヴァルクは背中を向けて静かに告げた。
「俺には人質がいる。お前は俺を裏切ることはできない」
それを聞いた騎士団長は顔に怒りを滲ませる。
ヴァルクの言う人質とはアンジェのことなのだと悟ったからだ。
しかし、彼は黙ったままだった。
すると、ヴァルクは突如話題を変えた。
「南のほうに小国だが自然が豊かで民も穏やかな国がある。お前に無期限でそこに駐在してもらうつもりだ」
「……左遷ですか」
ヴァルクは振り返って満面の笑みを浮かべた。
「子を育てるには実に環境がよいと聞いているぞ」
「……はい?」
騎士団長は首を傾げるも、ヴァルクはそれ以上言わなかった。
その場に残ったヴァルクは騎士団長に話しかける。
「見事な演技だったな。スベイリー侯爵はすっかりお前に騙されたようだ」
「お褒めいただき光栄に存じます」
騎士団長は深々と頭を下げるも、ちらりとヴァルクに目線をやる。
「ですが、私が本当に陛下を裏切るとはお思いにならなかったのですか?」
それに対し、ヴァルクは背中を向けて静かに告げた。
「俺には人質がいる。お前は俺を裏切ることはできない」
それを聞いた騎士団長は顔に怒りを滲ませる。
ヴァルクの言う人質とはアンジェのことなのだと悟ったからだ。
しかし、彼は黙ったままだった。
すると、ヴァルクは突如話題を変えた。
「南のほうに小国だが自然が豊かで民も穏やかな国がある。お前に無期限でそこに駐在してもらうつもりだ」
「……左遷ですか」
ヴァルクは振り返って満面の笑みを浮かべた。
「子を育てるには実に環境がよいと聞いているぞ」
「……はい?」
騎士団長は首を傾げるも、ヴァルクはそれ以上言わなかった。