人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
皇城では連日のようにパーティが開かれたが、イレーナは疲れ果てていた。
5日目あたりでぐったりして、イレーナは部屋へ戻るとベッドに倒れ込んだ。
イレーナとともに部屋に入ってきたヴァルクが彼女を見て苦笑する。
「この程度でバテていては正妃は務まらないぞ」
イレーナはベッドに転がったまま、横目でじろりとヴァルクを見つめた。
「毎日毎日貴族の方々に挨拶まわり、国の事業についての会議、町への視察、そして夜にはパーティともうヘトヘトです! だいたい毎日パーティをする必要がありますか?」
イレーナのとなりに腰を下ろしたヴァルクは笑みを浮かべて言った。
「そうか。お前がそう言うならパーティはもうやめておこう」
「えっ? お、お待ちください。そんな簡単に私の意見を通さないでください」
最近のヴァルクはあまりにもあっさりイレーナの言うことを聞く。
それがかえって貴族たちの反感を買ってしまうのだから、イレーナは困惑していた。
しかし黙っておこうにも気になることはつい口にしてしまう性分で、ヴァルクはそれを知っていてわざとイレーナから意見を引き出すのだ。