人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
3、子作りじゃなかったんですか?
イレーナが目覚めたのは朝ではなかった。
たしかに小鳥がチュンチュン鳴いていたが、すでに日は高く。
「妃さま、お昼でございます。そろそろ起きてくださいませ」
侍女の声で目覚めると、イレーナはぼうっと天井を見つめていた。
昨夜一体何が起こったのだろうか。
すぐには思い出せず、ゆっくりと記憶を辿る。
すると、さまざまなことが頭の中を駆けめぐり、慌てて身体を起こした。
「いったぁ……!」
ふたたびバタンと横になる。
すると侍女と使用人たちがぞろぞろ部屋へ入ってきた。
侍女のリアがイレーナのそばまでやってきて声をかける。
「妃さま、昨夜はお疲れさまでございました」
「お疲れさまでございました」
リアの言葉を復唱するように使用人たちが一斉に声を上げた。
(は、恥ずかしいんですけど!)
リアはにっこりと笑顔で訊ねる。
「イレーナさま、起きられますか?」
「無理です。あっちこっち痛いの」
「まああっ!」
リアが声を上げると使用人たちも歓声を上げた。
「大変すばらしい夜をお過ごしになられたのですね!」
「えっ……」
イレーナは羞恥に全身が燃え上がるほど熱くなった。