人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
香ばしく焼いた肉の塊とじゃがいもを揚げたもの、チーズやハムを挟んだサンドウィッチ、彩りのいい野菜のサラダ、クロワッサンやスコーン、ケーキなど。
リアが丁寧に肉の塊を一切れカットして皿にのせ、ソースをかけてくれたが、正直これだけでも十分すぎるほどだ。
何せ、実家(カザル公国)での朝食はパンケーキとサラダとスープというシンプルなものだったからだ。
「いただきます」
イレーナはナイフとフォークで肉をさらにカットして口に入れる。
食べた瞬間、目の前に花畑が広がる光景が見えた。
それほどに、美味だった。
(なんって美味しいのーっ! こんなに美味しいお肉料理を食べたのは初めてだわ!)
イレーナがぱくぱく食べ続けるものだから、リアも使用人たちもクスクス笑った。
「どうしたの? やだ、私が頬張ってしまったからね。品がなくてごめんなさい」
「いいえ、違います。お肉を欲していらっしゃるので、昨夜はよほど体力を使われたのかと……」
イレーナはボンっと頭から火が出るほど熱くなり、顔から首まで赤面した。