冴えない男子は学校一の美少女氷姫と恋人になる
「でもさ、学校でふたりだけで話してると、なんだか浮気してるみたいに見えちゃうよね? 変な噂が飛び交うのも迷惑かけちゃうし、うーん、どーしよー」

 誠也にだけは迷惑をかけたくない。
 嫌われるのは絶対にイヤだ。
 どうにかして、ふたりっきりで話せる方法がないか考えていると、沙織から名案が飛び出してきた。

「何も深く考える必要なんてないんじゃない? だって幼なじみなんだし、それなら、適当な用事で鈴木くんの家に行けば、ふたりだけで話せると思うよ」
「ナイスだよ、沙織! そうだよね、ここは幼なじみの特権を使うしかないよね」

 とは言ったものの、そんな都合よく用事なんてあるわけがなく。
 何か些細なことでもないか、必死に頭を働かせる。そこで浮かんだのが、話も出来て女子力も見せつけられるナイスなアイディアだった。

「その様子だと何か閃いたみたいね」
「うんっ! 手料理を作ってね、ちょっと作りすぎたんだけどー、とか言って誠也の家に持っていくの。それでね、強引に誠也とふたりっきりになって、西園寺さんのことどう想ってるか聞いてみるよ」

 少し強引すぎる流れだが、本人がやる気満々ならそれでいいと沙織は思っていた。

 瑠香は料理には自信がある。
 いや、料理だけでなく、掃除や洗濯も普段から自ら率先してやっているほど。
 ひと言で言うなら家庭的な女性だ。

 自分の得意分野で勝負し、なんとか誠也と話をしたいと思う瑠香であった。
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