冴えない男子は学校一の美少女氷姫と恋人になる
「そうだったんですね。でも、僕も男なんですけど……」
「そうね、本当は死ぬほどイヤなんだけど、下心丸出しで告白してくる男子に比べたらマシな方よ。これはふたりだけの秘密だからねっ」
ついさっきまで嫌悪感丸出しだったはずの瑞希。
それが一瞬だけ仮面がはずれ、天使の微笑みを見せる。
──ドキッ。
誠也の中で何かがときめいた。
三次元の女性になど興味がないはず。それなのに──なぜかその笑顔が頭に焼き付いて離れなかった。
違う、これはただの社交辞令にすぎない。
心に湧いた不思議な感情を押し込め、誠也は瑞希と一緒に校舎へと歩いていった。
お昼休み──誠也はなぜか瑞希に呼び出された。
「どうして呼び出されたのか理由が聞きたいんですけど……」
誰もいない校舎裏にある芝生の上。
恋人たちの憩いの場とはまさにこの場所のこと。
誰にも邪魔されない木の下で、瞳を潤ませた瑞希が誠也に迫っていた。
「あのね、その、別に私は気にしないんだけど。友達、そうよ友達にカレシのことを話すときに困っちゃうのよ」
「やっぱり僕とは釣り合わないってことですか?」
「違うわよ、ばかっ。デートに決まってるじゃないのっ!」
なぜ怒られないといけないのか。
いくらなんでもこれは理不尽すぎる、悪いことなどしていないのに。しかし誠也は、そっとその気持ちを心の奥にしまい込んだ。
「で、で、デート!?」
最初は理不尽さに意識を奪われ気づかなかった。
それは『デート』という誠也とは最も無縁の言葉。
時間差で動揺が湧き上がり、鼓動が激しいリズムを奏でる。
「デートごときで何をそんなに動揺してるのよっ」
「だって、デートとか僕はしたことありませんし……」
「そんなの私だって──って、それよりも今度の休みにデートにいくわよ。場所は誠也が決めて、ちゃーんと私を楽しませるのよ?」
言いかけたことが気になるも、それを聞いたらまた怒られそうで。
それよりも問題はデートを成功させる方法だ。陰キャでインドアな誠也には未知なるもので、何を参考にすればいいのかすら分からない。
デートの日までは僅か三日。とにかく今は、デートとはどういうものなのか、情報を集めるしかない。このあとの授業など一切頭に入らず、誠也はデートのことだけしか考えられなかった。
「そうね、本当は死ぬほどイヤなんだけど、下心丸出しで告白してくる男子に比べたらマシな方よ。これはふたりだけの秘密だからねっ」
ついさっきまで嫌悪感丸出しだったはずの瑞希。
それが一瞬だけ仮面がはずれ、天使の微笑みを見せる。
──ドキッ。
誠也の中で何かがときめいた。
三次元の女性になど興味がないはず。それなのに──なぜかその笑顔が頭に焼き付いて離れなかった。
違う、これはただの社交辞令にすぎない。
心に湧いた不思議な感情を押し込め、誠也は瑞希と一緒に校舎へと歩いていった。
お昼休み──誠也はなぜか瑞希に呼び出された。
「どうして呼び出されたのか理由が聞きたいんですけど……」
誰もいない校舎裏にある芝生の上。
恋人たちの憩いの場とはまさにこの場所のこと。
誰にも邪魔されない木の下で、瞳を潤ませた瑞希が誠也に迫っていた。
「あのね、その、別に私は気にしないんだけど。友達、そうよ友達にカレシのことを話すときに困っちゃうのよ」
「やっぱり僕とは釣り合わないってことですか?」
「違うわよ、ばかっ。デートに決まってるじゃないのっ!」
なぜ怒られないといけないのか。
いくらなんでもこれは理不尽すぎる、悪いことなどしていないのに。しかし誠也は、そっとその気持ちを心の奥にしまい込んだ。
「で、で、デート!?」
最初は理不尽さに意識を奪われ気づかなかった。
それは『デート』という誠也とは最も無縁の言葉。
時間差で動揺が湧き上がり、鼓動が激しいリズムを奏でる。
「デートごときで何をそんなに動揺してるのよっ」
「だって、デートとか僕はしたことありませんし……」
「そんなの私だって──って、それよりも今度の休みにデートにいくわよ。場所は誠也が決めて、ちゃーんと私を楽しませるのよ?」
言いかけたことが気になるも、それを聞いたらまた怒られそうで。
それよりも問題はデートを成功させる方法だ。陰キャでインドアな誠也には未知なるもので、何を参考にすればいいのかすら分からない。
デートの日までは僅か三日。とにかく今は、デートとはどういうものなのか、情報を集めるしかない。このあとの授業など一切頭に入らず、誠也はデートのことだけしか考えられなかった。