あなたの名前を【短編】
「ありがとう」
山本も嬉しそうにひみかの表情を見つめると、ひみかもそんな山本に気付いたのか山本を見つめていた。
好きの気持ちが一気に溢れだして
どうしようもなくて、とまらなくなる。
気付いた時には、唇がどちらからともなく重なっていた。
幸せな感情で胸がいっぱいになって、もっと欲しいと願ってしまう。
「……すいません」
山本は申し訳なさそうにひみかから離れると、その時点でひみかと山本は
客と店員
に変わってしまう。
「私も……親切にして下さって、ありがとうございます。」
不思議と頬に伝う涙。好きの感情がこのまま流れていけばいいのに。
(どうして私は叶わない恋をしたんだろう…)