今はまだ、折れた翼でも
とりあえず例のコンビニに入ってみたけど、望くんの姿は見当たらない。

よくよく考えてみれば、一時間も家の近くのコンビニで時間つぶしてるわけないか……。

あと、望くんの行きそうなところといえば。


考えてみるけど、なかなか思いつかない。

……私、望くんのこと、何にも知らないんだ。

なのに、望くんのことが大切な人だって思ってて。自分が恥ずかしい。


……とりあえず、学校。学校に、行ってみよう。

ここからならいつもの通学路じゃなくて別の道からのほうが近い。

私はそう思い、止めていた足をまた動かした。



「……いない、かあ」



学校の正門まで来てみたけど、誰もいない。

というか、人がいるかいないかも判別できないくらい暗い。

街灯と足音でなんとか分かるほどに。


普段走らないからか、息切れがすごくて呼吸がうまくできない。

でもここにいないのなら、望くんはどこにいるだろう。

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