今はまだ、折れた翼でも
お父さん、お母さん、おじいちゃんにおばあちゃん、晃成くんたち。

……ほんとうにごめんなさい。

私、みんなになにもできなかった。


あれ、これじゃ私ほんとに死んじゃうみたいだよ。でも実際、どうなっちゃうんだろう。



「ごめんねえ。だけど、逆らったほうが悪いから」



声が、脳に響く。

目の前で拳を握りしめるその音が、聞こえるようだった。

ああ、ほんとにやられちゃうんだ。そう思うと、急に冷静になって涙が出てきそうだった。


硬く握られた拳は、まるでスロー再生みたいにゆっくりと近づいて見える。

目は、閉じたほうがいいかな。そうしたほうが痛くなさそう。


私は覚悟して固く目を閉じる。

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