今はまだ、折れた翼でも
私は急いで倒れそうになった望くんを支える。
「これ、暴力だよね。それで、このおにーさん、君たちのやってたこと、全部撮影してたんだけど」
「……っ」
殴ろうとしてた人が、息を飲むのが分かる。
晃成くんが、スマホの画面をこちらに向けた。
暗くてよく見えないけど、ちらちらとなにか動いているのが見える。
晃成くんはポケットにスマホをしまい、口を開いた。
「と、いうわけで、この動画を電子の海にばらまかれたくなかったら、正直に警察に引き渡されることだな。ちなみにもう、呼んであるから」
「……そんな、でたらめ、通用するわけないだろ」
「いや、でたらめじゃないんだよな。なんなら、もうすぐ着くんじゃないか?」
晃成くんがそう言った瞬間、たしかに遠くのほうでパトカーと救急車のサイレンが同時に聞こえてきた。
サイレンはだんだん近づいてきて、まるで本当にこっちに向かっているみたい。
「やばいんじゃないか、これ」
「おいお前ら、逃げるぞ!」
私の後ろにいた人たちがそう言って立ち上がり、五人はあわてたように走り出し、暗闇に消えていった。
「これ、暴力だよね。それで、このおにーさん、君たちのやってたこと、全部撮影してたんだけど」
「……っ」
殴ろうとしてた人が、息を飲むのが分かる。
晃成くんが、スマホの画面をこちらに向けた。
暗くてよく見えないけど、ちらちらとなにか動いているのが見える。
晃成くんはポケットにスマホをしまい、口を開いた。
「と、いうわけで、この動画を電子の海にばらまかれたくなかったら、正直に警察に引き渡されることだな。ちなみにもう、呼んであるから」
「……そんな、でたらめ、通用するわけないだろ」
「いや、でたらめじゃないんだよな。なんなら、もうすぐ着くんじゃないか?」
晃成くんがそう言った瞬間、たしかに遠くのほうでパトカーと救急車のサイレンが同時に聞こえてきた。
サイレンはだんだん近づいてきて、まるで本当にこっちに向かっているみたい。
「やばいんじゃないか、これ」
「おいお前ら、逃げるぞ!」
私の後ろにいた人たちがそう言って立ち上がり、五人はあわてたように走り出し、暗闇に消えていった。