今はまだ、折れた翼でも
目が覚めたら、あたりは真っ白だった。



「……いってぇ……」



少し頭を動かすと、ズキリと外側に傷の痛みを感じる。

あのときは無我夢中でどれだけ痛いかなんて気にならなかった。いや、気にしている暇もなかった。

目だけを動かして確認してみると、周りはカーテンで左右前と三方向が仕切られていた。


と、すると、ここは病院かなにかか。

でも、石井に胸倉を掴まれたあたりから記憶があいまいでよく思い出せない。

どうやって、ここに来たのかとか、石井たちはどうしたのかとか。


……映茉は。無事なんだろうかとか。



ふと、腰あたりに自分のものじゃない暖かい体温を感じた。
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