今はまだ、折れた翼でも
なんだと思い、落ち着くまでしばらくしてからゆっくりと気を使い上半身を起こす。



「……映茉」



ぬくもりの正体は、映茉だった。

ベッドに突っ伏して、気持ちよさそうに寝息を立てながら寝ている。

頬は少し赤らんでいて、やわらかそうなまつ毛が見える。


そして、ピンク色のふわふわとした柔らかそうな唇。

休日だからか縛っていないさらさらの髪を、無意識に手に取った。

肩は薄く、首までも真っ白なことに髪を持ち上げながら気づく。


こんなに小さな身体で、俺の代わりに暴行を受けようとしたのか。

白くて細い手足。ほんとに、一発やれば折れてしまう。



…………不覚にも俺は、愛しいと思ってしまった。


生きているというその存在に。優しさに、強さに。

その、全てが。


愛おしくて。ずっと守っていきたいと思う。



—————俺は、鳥越映茉が好きだ。


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