今はまだ、折れた翼でも
次の日の昼。俺はさまざまなことを告げられた。



命に別状はないみたいだが、かなり深い傷があるため念のため一週間入院することになった。

期末テストはとりあえず延期ということで、退院後受けることになった。つまりまだ、留年回避はできる。


あとは、俺が意識を失った後のことを映茉の叔父に聞かされた。

「俺がたまたま通りかかって気づいて、警察と救急車呼んだからいいけどそうじゃなかったらどうなってたか」と言っていた。

ちなみに石井たちはというと、現在警察で事情聴取を受けているらしい。高校は退学だが、未成年ということで厳重注意で逮捕までには至らないということだ。


……母親には、連絡がつかなかったと言われた。でも別に、俺と母親の関係なんてずっと前からこうなわけだし、驚きはしない。



夕方には、映茉が見舞いに来てくれた。



「望くんがいないと寂しいよ」



なんて少し眉を下げながら笑っていた。俺はそんな顔、させたくないのに。

俺に気を使ってか、今日から実施されているはずの期末テストに関しては一言も口にしなかった。


……俺のこと、怖いって言ってくれたほうが、潔く諦めがつく。

なのになんで映茉は、こんなにも怖がらず、対等に接してくれるんだろう。

その優しさは本当に、俺が貰ってもいいんだろうか。


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