今はまだ、折れた翼でも
ベッドときれいなちゃぶ台。中にあるのはそれだけなのに、ベッドのシーツが少しよれてたりとか、ちゃぶ台に消しかすが残っていたりとか。

そんなちょっとしたところに望くんの気配を感じる。

ああ、いたんだなって。


こんなこと思って、私、気持ち悪い。



「……どうしよう。寂しい。寂しいよ、望くん……!」



だけど、胸の奥底から悲しい気持ちと会いたい気持ちがこみ上げてきて、床に膝をついて顔をそのまま突っ伏す。

泣いたって、“寂しい”って言ったって、望くんは帰ってこない。


隣にいない。触れられない。

そう思うのは、甘えなのかもしれないけど。

でも、気持ちは抑えられなくて。


私は、望くんに出会ってから、どこかおかしい。そう思っていた。

でも、おかしくなんてなかった。

今の私も、本当の私。



———望くんのことが好きな、意外に寂しがりやな私。

金曜日。熱もだいぶ下がってきて、家の中なら歩き回れるようになった。



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