今はまだ、折れた翼でも


「名前、ええと。と、鳥越映茉、16しゃいでしゅっ」



ちゃんと自己紹介したつもりだったのに、最後のほうを思いっきり噛んでしまった。

恥ずかしくて顔が赤くなったのを感じる。

そのまま膝の力が抜け、床に座り込んでしまった。



「お、おい。大丈夫か」

「だ、大丈夫です〜」



目の前にすっと手を差し出され、お言葉に甘えてその手を取ろうとする。

……え。

手のひらは傷だらけで、赤く染まっていた。


思わずまじまじと見つめてしまい、慌てて両手を左右に振った。



「ご、ごめんなさい。私、傷のこと、気づかなくて……」



そういうと、手は引っ込まれてしまった。



「いや、大丈夫だから。このくらい、いつものことだし」

「そ、そう、ですか……」



いつものこと。この人は、いつもこんな怪我をしているっていうことなのかな。

手当、するのだろうか。
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