今はまだ、折れた翼でも
すると、竹林さんは少し視線を落とした。



「……実は、公立高校の試験日から望とは一切連絡が取れなくて。学校にも来ないし。北田高校が受験候補の一つに入っていることは本人から聞いていたのですが、どこに受かったのかとか、はたまた本当に北田高校を受けたのかさえ分からなくて」



この様子を見ていると、そうだったんですか。なんて気楽に言えるはずもなく、ただ話に耳を傾ける。



「そして、先週あたりにたまたま北田高校の制服を着た鳥越さんを見かけて。まさかとは思ったんです。ごめんなさい、僕、ストーカーみたいで」


「いえ、そんな」



今度はしょんぼりと頭を垂れたので、声をかける。

竹林さんの話を聞きながら、あれと思う。

先週はテスト期間で帰りが早かった。4日間あって、全て午前中帰り。


私が下校している間竹林さんは学校だったわけで、見かけることは不可能なはず。

登校中かと思ったけど、下校より可能性が低い。

……もしかして。

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