今はまだ、折れた翼でも
……望くんのことをいっぱい考えると、会いたくなってたまらなくなる。
寂しくなって、涙が出てきそうなった。
私はこらえようと必死にスカートを握ってうつむく。
そんな私に気づいていないのか、はたまた気づかないふりをしてくれているのか、竹林さんは話を続けた。
「治谷祭りで見かけたとき、望の鳥越さんを見つめる目が、優しかったから。僕の憶測にすぎませんが、たぶん合ってると思います。……望はあなたを、大切に想っていること」
私はゆっくりと顔をあげながら右隣を見ると、竹林さんと目が合う。
竹林さんは、優しく微笑んでいた。
「鳥越さん」
「……はい」
真剣なその声色に私は姿勢を正し、まっすぐ竹林さんのほうを見る。
「望に昔何があったのか、話しましょう」
私の目と合ったレンズ越しの瞳は、暖かな色をしていた。