今はまだ、折れた翼でも
そこまで考えたけど、嫌がってるわけだし変に干渉するのもよくないなと思い、私は自分で立ち上がった。



「ところで、あなたのお名前は……」

「……白岩。白岩、望」



しらいわ……のぞむ。

私はその言葉に引っ掛かりを覚える。

……どこかで聞いたことのある名前。一体、どこだろう。

私の勘違い?


でも、名前を知っているくらいの知り合いなら、顔くらい覚えていそうだ。


それに、こんなに整った顔にきれいな金髪。忘れようとしても忘れられないと思う。



「俺のことは、なんて呼んでくれてもいい。こっちは、なんて呼んだらいいか」

「えっ、えっと……。私もお好きなように!」

「なら……映茉」

「はい。……白岩くん」



すると、白岩くんはなんだか少しむっとした表情を見せた。

だ、だめだったかな。聞き間違いとかしてないよね?


でもそれは一瞬だったみたいで、無意識にした瞬きの後にはもう元の表情に戻っていた。

どうやら、気のせいだったみたい。

私は、ほっとため息をつく。



「私は高校一年生で、誕生日が3月14日なのでまだ全然15歳なんですけど、白岩くんは何歳でいらっしゃいますか?」

「……俺は、16歳。でも、高一」



白岩くんの言葉に私は驚く。

白岩くんは大人っぽく見えて、いくつか年上だと思っていたのに。まさか同い年だなんて。
< 14 / 198 >

この作品をシェア

pagetop