今はまだ、折れた翼でも
……翼がもみ合った相手は、誰なんだ?

それに、集団。車道の近くでもみ合ったのなら、そんなに相手の人数は多くないはず。



—————まさか。


俺は頭に一つの可能性が思い浮かぶ。


まさか、まさかまさかまさか!翼は!


それしか、思いつかなかった。

違っていてもいい。少しでもある可能性をつぶしたい。

勘違いでもよかった。むしろ、勘違いのほうがいい。


俺は急いで靴下を履いて玄関へ向かった。いや、向かおうとしたとき。

ふいに後ろから物音がした。

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