今はまだ、折れた翼でも
どうせなら、『白岩望』として母親のために、家族のために生きたかった。

でも全てが変わってしまった今、それはできない。

ならせめて、俺は俺自身のために生きよう。“白岩望”として。




そして俺は、その日から外で喧嘩をするようになりほとんど学校にも行かなくなった。学校に行かなくなったのは、喧嘩をしていることがバレて、そのまま学校に行けば今度こそ本気で渉が危ないからという理由もあったのかもしれない。

でもまあ、うわさは早く、どうせ簡単に広がるだろうが。


—————俺の人生は俺のもの。


喧嘩に勝ち負けをこだわったことはなかった。喧嘩をして得られる『俺』という存在には変わりはなかったから。

母親に無理矢理受けさせられた模試は、A判定だった。ほんとは問題を解かずにE判定にでもしてやろうかと思ったが、それほどまでに大胆なことは俺には出来なかった。


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