今はまだ、折れた翼でも
18 それぞれの想い
それからあのときのベンチに並んで座り、望くんの話を聞いた。

主に話してくれたのは、望くんのご両親が離婚された経緯とその後のこと。

私と出会うまでのこと。


望くんはなんでもないことのように話すけど、表情が少し苦しそうだった。



「ごめん、こんな話。映茉、具合悪いのに」

「ううん、大丈夫だよ。ありがとう、話してくれて。……私にできることなんて、何もないかもしれないけど」

「そんなことねぇから」



私の言葉を、望くんが食い気味に否定する。



「……映茉は、隣にいてくれるだけで俺は十分だし」

「えっ」



とたんに顔が赤くなって、まともに望くんと目が合わせられなくなる。

また熱が出るんじゃないかってくらい、体中が熱くなる。



「そ、それは、よかった……です」



頑張ってひっぱりだした言葉は、それだった。


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