今はまだ、折れた翼でも
そろそろ出ようかと話し合って、ひまわり畑を抜ける。

……望くんと、ほんとに、両想いなのかな。

その事実が信じられなくて、頭の中で『両想い』という言葉がぐるぐるする。


森を抜けて道路へ出る。なんだか、ずっと昔のことみたいに懐かしい。



「そういえば映茉、体調は大丈夫なのかよ」

「あ、うん。ちょっと頭がぼーっとするけど。あはは」



こんだけ外に出ておいて今更心配なんてかけられるわけもなく、軽く言いながら歩道を歩き始めたとき。



「じゃ、うちで休んでけよ」



とつぜん、近くから声がした。あわてて周りを見渡してみれば、隣の門に寄りかかる男の子が一人。

どこかで、見覚えのある顔。


わざわざ私の目の前までやってきたのは、ここに来る前に助けてもらったあの男の子だった。

ま、まさかこんなに早く再会できるなんて。



「……やっぱりあれ、お前だったのかよ」



すると望くんはなぜか、怪訝そうに眉をひそめながら男の子を見つめる。
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