今はまだ、折れた翼でも
あ、やっぱりこの二人、似てる気がする。それにしても、どういう関係なんだろう。

知り合い、なのかな。男の子は望くんのことを知っている感じだったし。



「まあ、話はゆっくり聞くから。ここは裏門だから、正門から入る。ついてこい」



ええ、ここ裏門なの?すごく立派。

男の子が手招きをしたので望くんと一緒についていく。

そう思いながらなんとなく上を見上げてみれば、それはあの原っぱのすぐ隣にある洋風のお屋敷だった。

え、ここに住んでるのかな?すごい……。


あまりのことに言葉もでないまま三軒ほど歩き、細い道で曲がった。

この辺は住宅街で入ったことがないから、どれもすてきなお家で胸が高鳴る。

そしてあのお屋敷の前まで到着し、男の子が両開きの門を開けた。



「どうぞ、入って」



男の子に招き入れられ、望くんと横に並んで門を通る。

そういえば、男の子の名前をまだ聞いていない気がする。

私がもし聞き逃しているんだったら、申し訳ないけど……。



「あ、あのっ」

「……なに」



思い切って話しかけると、男の子が足を止めてこちらを向いた。

一見冷たく見えるけど、言葉の中に優しさを感じる。



「あの、お名前って……」



そう問いかけてから数秒後。

あれ、聞いちゃだめだったかなと思い謝ろうとしたとき。

男の子は表情一つ変えずに口を開いた。


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