今はまだ、折れた翼でも

……そういえば私、全然休んでないや。

起きているのに、このままお部屋をのんびり借りるのも申し訳ない。

ちゃんと、言ったほうがいいよね。


そう考えるとなんだかここにいるのがいたたまれなくなってきて、ベッドから出て歩き、部屋のドアを開けた。

廊下に流れる風は、少し冷たい。

床に敷いてあるのは赤いじゅうたんで、スリッパを履いていてもわかるふわふわとした感覚がする。


でも、そういえば二人がいるところを私は知らない。

でもたしか、階段じゃないほうに歩いて行ったような気がする。

私は左にある壁に沿って足を前に進めた。


左に並ぶ部屋は八つくらいあって、それが私のいた部屋の目の前にも並んでる。これは、一つの列に十いくつくらいはありそう。

そして四つほど部屋のドアを通り過ぎたとき、向かい側から微かに声が聞こえてきた。

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