今はまだ、折れた翼でも
19 折れた翼で、何度でも
夏休みに入る直前の7月21日。
望くんと流星くん、望くんのお父さんと私とで、白岩翼さんのお見舞いへ大城病院へ行った。
私は部外者なのに行ってもいいのかなって思ったけれど、流星くんに説得されて着いていくことにした。
病室に入るなり、望くんのお父さんがベッドに駆け寄る。
「……翼、翼……っ!ごめんな、今まで来れなくて」
望くんのお父さんはそばに跪き、ベッドに突っ伏す。
離婚されてから、翼さんのお見舞いには来ていないと言っていた。「翼に合わせる顔がない」と。
流星くんは毎週末に一度来ていたとも、言っていた。
望くんは、翼さんが事故にあった日からは一度も、会っていないと。