今はまだ、折れた翼でも
「優太郎くんのお部屋があるじゃない。たしかベッドもあるし、机も移動してないはずだから、使えると思うけど」
右隣からいたっと小さく声が聞こえた。
お父さんが晃成くんの頭を軽く小突くのが見える。
「観念しろ、晃成。映茉はいつまでもお前の妹じゃないからな」
「はあ?なに言ってんだよ、にーちゃん」
お母さんの柔らかく笑う声が聞こえる。
「じゃあみんな、冷めちゃう前に早く食べちゃいましょー」
えっと、これ、正式決定……?ということ?
白岩くんに、身体の傷を直してほしい。だって、心配だから。
心の中でいろんな感情が渦巻いている。だけど、私の中では“心配”という気持ちが渦の真ん中の思いのような気がする。
私は白岩くんのほうを向いて、正座し直す。
息を目一杯吸って、言った。
「私たちと、い、一緒に暮らしませんか!?」