今はまだ、折れた翼でも
そのきれいな瞳に見つめられていると、なんだか恥ずかしい気持ちになってくる。
「えっと、優太郎くんは、私の叔父に当たる人です。六年ほど前までここに住んでいたんですけど大学を卒業してからここを出て、今は社会人です」
えっと、一応詳しく説明しておくと……。
鳥越祥太郎。これが、お父さんの名前。晃成くんはお父さんの弟で、優太郎くんもお父さんの弟。
正確には、お父さん(祥太郎)が長男、優太郎くんが三男、晃成くんが四男、つまり末っ子となる。
本当はちゃんと次男もいるけれど、今は省かせてください。
優太郎くんは現在28歳。大学を卒業するまではこの家に住んでいたけれど、在学中に就職先を見つけて卒業と同時に家を出てしまった。何回かは会っているけれど、仕事が忙しいみたいでここに泊まることはなく、部屋もそのままというわけだ。
もう一人、晃成くん。晃成くんは現在21歳で大学三年生。今ここに住んでいて、昔から私はよく遊んでもらっていて、お兄ちゃんみたいな存在。……実際は、叔父なのだけれど。
「叔父は、あの晃成って人じゃないのか」
「こ、晃成くんも、優太郎くんも私の叔父になります。話がわかりにくくてすみません。自分でもそう思います……」
うまく説明できている気がしなくて、思わず下を向いてしまう。まさか、こんなところで今まで放っておいたコミュニケ―ション能力が必要になるなんて。
ちゃんと、もっと人と話せるように練習しておけばよかった……。