今はまだ、折れた翼でも


少し落ち込む私の気持ちを知ってか知らずか、特になにも触れることはなくガチャリとドアを開けてしまった。



「うっ……」



その瞬間、私は思わずうろたえてしまう。

これ、ほんとに掃除してない……!

ほこりのかび臭い匂いが部屋に充満しきっていて、目は今にも乾いてしまいそうだ。



「とりあえず、電気つけるぞ」



暗い中、白岩くんが手探りで電気のスイッチを探してくれ、すぐにパチッと音がした。

反射的につぶっていた目を開けてみる。



「あ……」



驚きのあまり声を漏らす。

だって、あるはずのベッドや机がないんだもの。

いや、正確には、見えないというか……。



「部屋、なのか、ここ」

「た、多分……」



白岩くんに、とても申し訳ない気持ちがわいてくる。
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