今はまだ、折れた翼でも
制服をハンガーで壁にかけながら、聞いてみる。
「いや、用事があったっていうか。白岩くんのことで、ちょっと映茉ちゃんに話をしておきたくて」
「え、白岩くんのこと……?」
……やっぱり、よく思われてないのかな。
白岩くんのことは名前と年齢しか分からないし、家がどこにあるのかとか、一人暮らしといっても家族はどうしているのかとかがまったく分からない。
それに、どうしてあんなひどい怪我をしていたのかも。
白岩くん自身が話す気配もなかったし、なにより、話したくなさそうに見えた。
無理に深入りするのもよくないし……。
ぎゅっと、パジャマのズボンの生地を握りしめる。
「そう。……お母さん、心配なのよ。白岩くんのことが」
「……え?」
お母さんから出てきたのは、まったく別のものだった。
白岩くんが……心配。そう、思ってたんだ。