今はまだ、折れた翼でも
手の力を緩めて、視線を少し上へ持っていく。
「高校生となると多感な時期だし、さっき出会ったばかりの赤の他人にあれこれ話せるわけでもないし。聞くべきじゃないって、お母さんも分かってるから」
私の頭を、そっと優しくなでてくれる。優しすぎて、逆に涙が出てきそうだった。
「……大丈夫。みんな、あれでもちゃんと解ってくれてるよ。もちろん、晃成くんだって。映茉ちゃんのことも白岩くんのことも、信頼してるのよ」
なでる手が、心地いい。暖かい気持ちだ。
お母さんやお父さん、おじいちゃんにおばあちゃん、晃成くん。
こんな私でも信じてくれている。事がうまく運ばなくたって、みんなが私を責めないことは分かっている。
だけど、それに甘えてちゃだめだってことも、分かってる。
だから、これからの約束された三週間。
私は、私らしく過ごすんだ。白岩くんと。