今はまだ、折れた翼でも
しばらく歩いていると、目的地が見えてきた。

古びていて、築四十年以上はあるだろうと思われる外観の三階建てアパート。

錆びて今にも壊れそうな鉄製の外階段を上がる。


この辺は静かで、人もあまりいない。だからか、朝なのに幽霊でもでそうな雰囲気だ。



三階の階段から一番遠い奥の部屋。ここまで伸びてきているツタを気にすることもなく踏みながら、やっとドアの前まで来た。

試しにドアノブを回してみるとガチャリと音を立てながら回る。

ゆっくり開いて、俺は中に入った。


部屋の中は特に荒らされた形跡もなく、金目のものが取られた感じでもない。一昨日、俺は開けっ放しで出て行ったのか。


散乱した部屋の中を進み、一番奥の部屋の扉を開ける。

人気はなく、そこには湿った空気が流れていた。
< 42 / 198 >

この作品をシェア

pagetop